この本は、高機能自閉症(アスペルガー)の人が書いた自伝である。主人公のドナは、先天的な自閉をもち、また虐待、暴力を受けて育った。社会のなかで葛藤し、多くの人の関わりの中で成長し、自分の内面を外に出すために、防衛していた表面の人格を脱ぎ捨てる旅をした。内面をしばるものを見つけ開放し成長していった。
誰にも受け入れられない人間、どこにも属することのできない人間だという少女の苦悩に共感した。本当の自分自身を探しあてるため彼女は長い旅をし、いろんな苦闘に少し笑ってしまうような心地よさもあった。
自閉症は昔、親の育て方のせいだと言われたが、そのことは研究により否定された歴史がある。また最近になり、自閉症は、虐待(暴言や無視も含めて)によっても、人間らしい親子の交流がないことでもおこるとわかってきた。
ドナは、自閉症だったころは、NOBODY NOWHERE と表現した。生きる勇気をもらえる一冊である。